Q2. ゼオライトの骨格構造?
A2.
ゼオライトの骨格構造は、International Zeolite Association(国際ゼオライト学会)によりデータベース化されており、アルファベット大文字3個からなる骨格コードが与えられています。(http://www.iza-structure.org/databases/)。
この骨格コードは骨格の幾何構造のみを指定するものであり、組成や格子定数が異なっても幾何構造が等しければ同じ骨格コードに含まれます。現在その数は2021年8月時点で日本からの新規ゼオライト三つ(骨格コードGON, CDO, YFI)を含め255種類です。
しかし、工業的に利用されているゼオライトはわずか10種類程度です。代表的なゼオライトの細孔の幾何学的データと骨格構造を幾何学的データと骨格構造を下に示します。幾何学的データは、チャンネルの方向、員環数、孔径の大きさ(長径と短径をÅで書く、1Å=0.1nm=1×10-10m)、チャンネルの次元数を示す星印の数で一組をなしています。
もし、チャンネルが2組あれば順に書き、互いに交差していない場合は縦線、交差している場合は矢印で両者の関係を表しています。
骨格コード | 名称 理想化学組成 細孔構造 |
骨格構造 |
LTA | A型 |Na+12(H2O)27|8 [Al12Si12O48]8 <100>8 4.1×4.1*** |
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FER | フェリエライト |Mg2+2Na+2(H2O)18|[Al6Si30O72] [001]10 4.2×5.4*<->[010]8 3.5×4.8* |
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MWW | MCM-22 | H+2.4Na+3.1|[Al0.4B5.1Si66.5O144] ⊥[001]10 4.0×5.5**|⊥[001]10 4.1×5.1** |
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MFI | ZSM-5 |Na+n(H2O)16|[AlnSi96-nO192] {[100]10 5.1×5.5 <->[010]10 5.3×5.6}*** シリカライト 骨格構造中に Alを含まないだけで、細孔構造はZSM-5と同じ |
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MOR | モルデナイト |Na+8(H2O)24|[Al8Si40O96] {[001]12 6.5×7.0* <-> {[010]8 3.4×4.8 <-> [001]8 2.6×5.7}* |
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LTL | L型 |K+6Na+3(H2O)21|[Al9Si27O72] [001]12 7.1×7.1* |
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FAU | Y型、X型 |(Ca2+,Mg2+,Na+2)29(H2O)240|[Al58Si134O384] <111>12 7.4×7.4*** |
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*BEA | ベータ型 |Na+7|[Al7Si57O128] <100>12 6.6×6.7**<->[001]12 5.6×5.6* |
注1)とは、[hkl]と結晶学的に等価な方向をすべて表す。
注2)*BEAの*は3種の構造の類似した多型の混晶であることを表す。
注3)骨格構造はゼオライト中のT原子(ケイ素やアルミニウム)の位置を線でつないで表示したもので、酸素原子、水、陽イオンは省略してあります。
(表 各種ゼオライトの理想化学組成、細孔の幾何学的データおよび骨格構造
出典:Ch. Baerlocher, W.M Meier and D.H. Olson,
“Atlas of Zeolite Framework Types”, Fifth Revised Edition, Elsevier, (2001).)
(図 様々な細孔構造を持つゼオライト)