Q5. ゼオライトの触媒特性?
A5.
ゼオライトを触媒として用いる反応の多くは、酸としての性質を利用しており、ゼオライトへのブレンステッド酸点(酸性OH基)の導入は主に下図に示すようにして行われています。すなわち、細孔内の陽イオン(Na+)をNH4+でイオン交換した後350℃以上で焼成することによりプロトン型ゼオライトが調製されています。架橋水酸基(Si(OH)Al)は室温ではOH基として存在するが、高温ではH+を与えます。
また、細孔と分子の幾何学的関係により反応の速度や選択性が影響を受ける形状選択性の発現もゼオライト触媒の大きな特徴です。
形状選択性の発現機構は一般に3種類に分類出来ます。
(1) 反応物規制選択性:反応分子の大きさにより決定される選択性で、ゼオライト細孔内に入ることができない、または入りにくい分子の反応性は規制され、容易に入ることが出来る分子が優先的に反応することができます。
(2) 生成物規制選択性:反応によりゼオライト細孔内で生じた分子のうち、細孔内拡散が十分早く結晶外に出ることが出来る分子だけが生成物として得られ、細孔外に出ることが出来ない大きな分子は小さな分子に変換してのちにはじめて細孔外に出ることが出来ます。
(3) 遷移状態規制選択性:反応物ならびに生成物の分子の細孔内拡散は阻害されていないにもかかわらず、かさ高い遷移状態を経由するある種の反応が起こりません。ゼオライトの反応場を利用した反応規制です。
(図 固体酸性の発現機構)